アルバルク東京

林邦彦 代表取締役社長


――B.LEAGUE(Bリーグ)は10シーズン目を迎えています。アルバルク東京のここまでのチーム状況 はどのようなものだったのでしょうか?

 過去にBリーグでは2度優勝し、1度はFIBAアジアチャンピオンズカップ2019でもタイトルを獲っています。昨シーズンの天皇杯では準優勝に終わりましたが、それにより今シーズンは東アジアスーパーリーグ(EASL)にも出場します。リーグ優勝には届かない時期が続いていますが、今シーズンはEASL含め、リーグ、天皇杯と3冠をめざしています。Bリーグ発足以来「常勝」を求められるチームとして強化をしてきましたので、そこは変わらず成長していきたいと考えています。

――興行としてはいかがですか?

 興行に目を向けると、2シーズン目は本当にピンチでした。当初、国立代々木競技場第二体育館を中心にホームゲームを行っていましたが、東京2020オリンピックに向けて耐震改修工事に入ることになりました。そのほかの公共施設はどこを探しても1年前にはスケジュールが決まっていて、ホームゲーム会場としてなかなか使用することができません。このままいけば東京で開催できない、東京のチームではなくなるのではないか……という危機感も抱きました。それでも、支えてくれる方々やご縁に恵まれ、アリーナ立川立飛を使わせていただけるようになりました。これは最大のトピックスであり、この申し出がなければ今のアルバルクはないといっても過言ではありません。

――そこからTOYOTA ARENA TOKYOに移った経緯は?

 B1リーグでは収容5000人以上のアリーナでホームゲームの8割を行うという規定があります。また、2026-27シーズンからのB.革新では、ホスピタリティエリアなどこれまで以上のアリーナ要件を満たす必要がありました。このBリーグの規定以外にも様々な背景が重なり、トヨタ自動車、トヨタ不動産との3社プロジェクトでTOYOTA ARENA TOKYOが新設されることとなり、今シーズンからアルバルク東京のホームアリーナとしています。全国的にはこのBリーグのレギュレーションのもとで、20を超えるクラブのアリーナ新設・改修が予定されていると思いますが、それは9年間のBリーグそれぞれのクラブの活動を評価いただいた結果なのではないかと思います。


――TOYOTA ARENA TOKYOは約1万人 を収容する多目的アリーナ ですね。

 私たちクラブの「魅力的な会場にしたい」という思いから、建設にあたって細かな設計についても私たち使い手の意見を吸い上げていただきました。私を含めて社内でプロジェクトチームを作り、アメリカのアリーナやエスコンフィールドHOKKAIDOをはじめ、他のスポーツを含めて多くの会場を視察しました。

――結果としてアイデアと技術を集めたアリーナになった?

 そうですね。まず、音楽興行を考えると通常のアリーナは馬蹄型 になるのですが、スポーツを中心に考えたのでTOYOTA ARENA TOKYOは楕円形で、どこからでもコートが見やすいです。座席幅のゆとり、前に座った人と視線がかぶらないような傾斜も研究しました。座席のクッション性や素材にもこだわっています。

――座り心地がよいだけでなく、見やすいのですね。

 さらにスタンド席から見やすい、アリーナ中央のセンターハングビジョンを設置するだけでなく、その内側にはアリーナ席の観客が見上げることができるビジョンもあります。また、アリーナをぐるりと囲むリボンビジョンは2層あり、上部のビジョンは高さが2メートルあります。これは相当な迫力で、トヨタの乗用車が収まるサイ ズです。ビジョンを充実させることで、より迫力ある試合を見せられると思っています。


――初めて観戦する方におすすめ座席はあるでしょうか?

 私自身がおすすめするのはベンチと反対側のスタンドです。テレビカメラはベンチを正面にコートを映します。ゲーム中のタイムアウトでは、チアリーダーのパフォーマンスなど様々なイベントを行いますが、テレビカメラに向かって行うことが多いです。そのため、全部正面から見ることができるんですね。コートに近い座席では、 スリーポイントシュートやダンクシュートなど、プレーの迫力をより体感していただけます。上層階からは 俯瞰で見られるのでゲーム展開が見やすく、より戦術的なおもしろさを感じられると思います。

――注目選手は?

 #3テーブス海選手です 。 パリ五輪や2025年8月FIBAアジアカップの日本代表でもあります。ポジションはポイントガードで司令塔です。もう一人挙げるとすれば#75 小酒部泰暉選手 。彼は身長187cmぐらいでバスケット界の中では小さいほうなんですが、2メートルの選手と競り合っても勝てるぐらいの身体能力があり、人気あります。

――ゲーム以外の楽しみ方はありますか?

 まず最上階に「SMBC SKY LOUNGE」がありますが、入場された方はどなたでも使用可能で、ここからコートをみることもできますし、外を眺めることもできとても開放的です。外には 2つの屋外パークもあります。ひとつは「adidas SPORTS PARK」で、バスケットコート があります。もともとバスケットはストリートから始まってますが、ストリートバスケみたいなものを屋外のコートでやって、 音楽もかけたりして……東京の喧騒の中でこんなにゆったりとした場所はあまりないんじゃないかと思います。 もう一つは、「レンタルのニッケン JOINT PARK」です。人工芝を張っているゆったりとしたスペースで、景色はレインボーブリッジ も見ることができ「これがまさにメトロポリタン」という景色かもしれません。

――屋外パークは 試合の日は観客のみなさんが使用できる?

 「レンタルのニッケン JOINT PARK」は観戦チケットをお持ちの方であれば誰でも利用できます。キッチンカーが出ていて食事も楽しめるので、家族やお友達でご来場されて試合前におしゃべりをしてもいいし、それぞれの時間の使い方や楽しみ方ができますよ。
「adidas SPORTS PARK」は時間によって、チケットをお持ちでない方でもどなたでも入ることができます。 
また、どちらのパークもイベントで使用していないときは誰でも入ることができますので、TOYOTA ARENA TOKYO公式サイトの「施設運営状況」から確認してぜひ遊びに来てください。

――グルメもエンターテインメントには大事?

 もちろんです。座席でゲームを見るには欠かせないアメリカ式のフィンガーフードから、本格的な食事など多彩なメニューを備えています。ケータリングをしないでその場で作っていて、アリーナ独自にコンセプトの異なる10店舗の常設売店を運営しています。 市場に近いので豊洲 直送の海鮮丼もあったり、音羽山部屋の監修を受けたちゃんこなども販売したりしています。


――多彩ですね。

 試合が快適におもしろく見られることはもちろんですが、その時間だけでなく半日居ても遊ぶことができる。どこか非日常的な空間で、家族やご友人、おひとりであっても様々なパターンで楽しんでもらいたいと思っています。やはり「アルバルクを見に来てよかった、新しいアリーナができてよかったね」と言ってもらえるように。チームの強化と共にホスピタリティを意識して全力で取り組んでいきたいと思っています。

――さて、このアリーナで今シーズンはどのような戦いを?

 これまでのアルバルクは、ボールを保持してシュートを失敗しない確率を高め、相手の隙を突いて得点するスタイル。守備力が高くリーグ最少失点を誇りました。しかしバスケットボールの進化はとても早いです。そのため、多少戦術が変わるかもしれません。特に世界に出ると、なかなか隙を見つけさせてもらえません。ですから可能な限り速く攻め込む。切り替えの早い攻撃を続けていくことは並大抵ではなく、選手は大変なはずです。それでもそのスタイルにチャレンジして、よりレベルの高い、魅力的なプレーを見せていきたいですね。


――では最後にメッセージをお願いします。

 アルバルク東京は、東京を代表するクラブであるべきだと考えています。都民のみなさんから応援され、愛着をもっていただけるような魅力あるクラブをめざしています。TOYOTA ARENA TOKYOには渋谷近辺から20分ほど で訪れていただくことができますので、ぜひ一度観戦にお越しください。きっと楽しい一日をお過ごしいただけるはずです。

2025年9月インタビュー