東京グレートベアーズ
久保田健司 代表取締役

――初めてSV.LEAGUEをみる方にアドバイスがあればお聞かせください。
何も準備しなくてよいですし、競技に関しての知識も必要ないと思います。バレーボールは、これほど点が入るスポーツはないというぐらい得点場面が多いです。1セットは25得点、3セットで75得点、4セットまでいくと100得点です。もちろん相手の得点も当然ありますので、「たくさん点が入ること」を楽しんでいただければと思います。そのうち応援席と一緒にハリセンを叩いたり、MCのコールに自然に呼応したりすると一体感も高まって、さらに楽しくみることができるでしょう。
――会場の雰囲気も楽しみのひとつだと。
私自身、一番最初にVリーグをみたのはシーンとした競技場で、「こんなに無音でいいのだろうか」というのが率直な気持ちでした。ですから、もし自分がクラブや試合を運営するのであれば「逆の方向に振ろう」と。その一心でここまで努めてきたように思います。
――東京グレートベアーズとして3年目の昨シーズン、目標としていたホームゲーム来場者数10万人を達成。また史上最多入場数も記録されています。ここまで競技以外面で腐心されたことが多かったのでしょうか?
当初は「東京グレートベアーズって何?」「一体何の競技?」というところから始まりました。選手たちは本当に一生懸命にバレーボールに打ち込んでいましたが、必死にバレーをしているだけでは限界があると感じていました。SVリーグを活気あるものにして、クラブとしても発展し、健全な経営をしていくためには、バレーファンだけでなく、日頃関心がない方にも興味をもってほしかった。まずはどれだけ多くの方に気軽にみに来ていただけるか。そこが勝負どころではないかと考えていました。

――そのために必要な要素はエンターテインメント性だったのでしょうか?
私たちはプロスポーツクラブであり、必ず勝敗や成績はつきまとうものです。ただし、ある種サービス業でもあると思うのです。たとえば「なんとなく楽しかった。また行きたい」と思ってもらうには、ただ開場を待つだけでなく、そこでグッズも買えたり、フードもあったり。スムーズでストレスのない入退場ができるか、など、我々のホスピタリティが問われていると捉えています。そこをクラブ全体で徹底し、さらに磨きをかけていこうとしています。
――会場ではどのような楽しみ方がありますか?
私たちの特徴として「カッコいい」と「かわいい」の両面があることです。当初からクリエイティブディレクター職を置き、その両立をめざしてきました。ユニフォームはピンク色で、第一印象は「かわいい」ものかもしれません。けれども男子が着用してもカッコいい色合いにこだわりました。マスコットのグレベアくんも動きはかわいいですが、会場の中には巨大なグレベアくんのバルーンがそびえ立っています。カッコいい選手のパネルもありますので、ぜひ一緒に写真を撮って楽しんでください。
――カッコかわいい映えスポットですね。
また、会場によりますがフードトラックもたくさん出店しています。グレベアオリジナルフードがあり、カラフルなジュースやバレーボール形のメロンパンなど、みなさんにSNSで取り上げていただくことも多いです。

――異業種とのコラボも?
チームのテーマソング「北斗七星」は東京スカパラダイスオーケストラに作っていただきました。また、呪術廻戦や進撃の巨人などのアニメ制作会社である株式会社MAPPAには、当クラブのオフィシャルパートナーになっていただき、様々なマッチデーを開催しています。声優の方に始球式をしていただくこともありました。ほかにも同じ東京を本拠地とするバスケットボールのアルバルク東京とのコラボレーションを実施しました。選手の交流だけでなく、互いのファンの方々にも異なるスポーツをみていただき好評で、今シーズンはコラボレーションウイークとして実施いたしました。
――来場者と比例するようにチームの成績も上がっていますが?
順位は1年目8位、2年目7位、昨シーズンは5位につけ、チャンピオンシップ(出場は6位まで)に出場しました。けれども対戦相手が上位だったため、私たちのホーム東京では戦えませんでした。今シーズンはぜひファンのみなさんの前でチャンピオンシップを戦いたい。トーナメントをさらに勝ち上がって、できる限り多くの試合を東京で戦うことを目標としています。
――今シーズンの注目選手は?
一番は新加入した背番号1バルトシュ クレクかもしれません。出身のポーランドは世界ランキング1位ですが、そのチームのキャプテンでもあります。得点に専念できるポジションで、多くのバレーファンが彼のプレーが日本でみられることを楽しみにしているぐらいです。ほかに外国籍選手は3名いますが、クレクを含めた全員が9月に行われた「世界選手権2025」で決勝ラウンドまで進んでいます。背番号4ヤン コザメルニクは世界大会(ネーションズリーグ)でベストミドルブロッカーに選ばれています。ポルトガル代表キャプテンのアレックス フェレイラ(背番号6)。背番号17のルチアーノ ヴィセンティンはまだ25歳ですが、世界選手権でアルゼンチン代表として大活躍しました。ただ、現状では外国籍選手は同時に2選手しかコートに立てません。カスパー ヴオリネン監督の采配にも注目でしょう。
――チームとしての特徴は?
「速い」プレースタイルです。他のチームにはないスピード感がありますが、それには連係が必要になってきます。今シーズンはカスパー監督が3年目の指揮を執ることもあり、成熟度にも期待がかかります。また、クラブがめざすこととも合致するのですが、カスパー監督は「魅せる」プレーも求めています。それぞれが役割を果たして得点を決めてセットを取って勝つ。それは当然だけれど、それ以上のプラスが必要だと。ハッと驚くようなプレーであったり、起用であったり、エンターテインメントといえるような「観客を楽しませるようなプレーをしていこう」ということが、もうひとつのチームコンセプトです。そこも楽しんでもらえればいいなと思います。

――プロとしてみなさんを楽しませたいという?
選手にとっては「それどころじゃない!」という場面もあるかもしれません(苦笑)。けれどもクラブ発足時からずっと話してきたことは、一生懸命勝つためにプレーをすることはあたり前。その上でみに来てくださる方に楽しんでもらう、そして感謝の気持ちを表すことが大事なことではないかということです。だから勝っても負けても選手は場内を一周してみなさんの声援にこたえます。決して彼らをアイドル視しているわけではありません。負ければ悔しい。だからといって不貞腐れたり下を向いていいのか……と。プロとしての振る舞いをしようとずっと話してきました。
――プロとはなにかを追求してきた。
根本はバレーボールの魅力や楽しさを伝えていくことです。ですから「VOLLEYBALL DREAM」という言葉をコンセプトとして掲げています。バレーを通じて夢をかなえる。将来、選手になりたい、バレーの仕事に就きたいという夢を抱く子どもたちが増えてほしい。 バレーがもっと魅力的になることで、様々な夢をかなえてほしいという思いがあります。その上で東京の、渋谷が拠点だからこそエンターテインメントに振れるのは当然だという見方もできると思うんです。音楽、アニメ、文化……競技としてバレーボールをやるだけではなくカルチャーを発信していきたいとも考えています。

――それがさらなるクラブの目標でもある?
そうですね。渋谷といえばバスケットストリートがあって、バスケの街のイメージも強いですよね。そこに私たちがどういったことを発信して、カルチャーを積み重ねていけばよいのか、とずっと考えています。渋谷地域に根づき、親しみをもって愛されるクラブになっていきたい。クラブもチーム・選手も一体となってVOLLEYBALL DREAMを体現していきたいですね。
