サンロッカーズ渋谷
神田康範 代表取締役社長

――B.LEAGUE(Bリーグ)がスタートして10シーズン目を迎えようとしています。ここまでの変化をどのように捉えられていますか?
驚くほどに右肩上がりで成長していると思います。 ひとつのクラブでは「そんなことはできないだろう……」と躊躇するようなことであっても、リーグとして「みんなでやろう!」という雰囲気があり、力を合わせて取り組んできました。当初はまさか全国にこれほどバスケット専用アリーナができるとは想像もしていませんでした。早いスピードで成長し、たった10年でここまできたかというのが正直な気持ちです。
――順風満帆に進んでいると?
ただ、野球やサッカーなどと比較するとまだまだだと思います。もっと伸びしろはあるはずです。ですから、もちろん競技の上では戦っていくのですが、各クラブが協力をして盛り上げ、競技面でも運営面でもさらに成長していきたいと思っています。
――サンロッカーズ渋谷はどのような特長をもつチームですか?
さかのぼれば前身の日立本社ライジングサン(1935年創設)から今年90周年を迎えます。プロクラブの中で日本最古となり、Bリーグのなかでももっとも歴史があります。現在は渋谷をホームとしていることもあり、成熟したキラキラとしたクラブなのかなと見られることもあるのですが、まだ成長過程です。チケット、スポンサー収入、スクールなど、クラブ運営にはいくつかの柱がありますが、どれも盤石とはいえません。他の東京のクラブと比べてもまだ発展途上のクラブではないかと思っています。
――それでも一足飛びではない成長を遂げてきたのですね。
チームには歴史があり、過去には素晴らしい成績を挙げています。2015年、2020年には天皇杯において全国タイトルを手にしています。一方でBリーグでは直近の4シーズンはCS(チャンピオンシップ=各地区上位により年間優勝を決めるトーナメント)にはたどり着けていません。さらにめざすべき高みがあると痛感しています。

――バスケットボールの魅力を教えてください。
私自身、初めてバスケットボールをみたときのことはよく覚えています。スピード感があって競技性の高いスポーツであり、わかりやすいショーのような感じでもありました。その頃、まだ私の子どもが小さかったのですが、野球やサッカーに連れて行ってもすぐに飽きて、なかなか興味が持てなかったようです。ルールを知らずに行くとそうなっちゃうんだろうな……と思ったことを覚えています。けれどもバスケットをみに行ったときは、どちらのファンでもないけれど、ドキドキしながら最後まで集中してみていました。ゴールネットにボールが入れば2点、遠くから決まれば3点と、それぐらいのルールがわかっていれば十分に楽しめます。40分間集中してのめり込めるスポーツだと捉えています。
――競技面以外のおもしろさもあると?
試合が音楽やダンスと相まったり、ハーフタイムショーがあったり、40分間のプレーだけではなくて、その合間にもさまざまな工夫が凝らされています。ある種、ノンストップの演劇のような形で楽しむことができる。それがBリーグです。
――チームのここをみてほしいというアピールポイントはどういったところでしょうか?
まず、代表選手が多く在籍しています。今夏に行われた「FIBAアジアカップ2025」では、日本代表メンバー12名のなか、我々のチームから3選手が選ばれました。これはBリーグクラブ最多です。特にジョシュ ホーキンソンは日本チームのキャプテンでエースでもあります。バスケットボールファンの間では彼をみに来てくださっている方も多いです。東京のど真ん中で気軽に日本のエースがみられますので、ぜひ足を運んで注目していただきたいです。
――そのほかにも代表選手が?
あと2人は、狩野富成とジャン ローレンス ハーパージュニアです。狩野富成は24歳、身長は208cmですが、まだ伸びているようです。バスケットは日本人選手の特性も生かせるスポーツですが、身長2メートルを超える日本人選手の活躍は実は希少です。
――外国籍選手と高さで対峙するのは容易ではない?
やはり2メートル超級の外国籍選手に対しては難しさがあります。けれども狩野は対等に渡り合える。日本代表でも活躍し始めていますし、チームをしっかりと引っ張ってくれるだろうと期待しています。

――チームとしての特長はありますか?
平均身長が全チームのなかで1位です。ここ数年は「リバウンド(跳ね返りやこぼれ球の奪取)が弱い」と言われていましたが、それを解消できるのではないかと考えています。もうひとつ、ホームの会場や応援の雰囲気ですが、初めてみる方がふらっと入ってきても『アウェイ感』のないスタイルをもっています。野球のホームスタンドやサッカーのゴール裏というのは、初めてみに行く人にとってはそこに入っていけそうかな……と、一歩引くことがあるかもしれない。私たちのクラブは、反対にいえば応援が確立しておらず、自由なスタイルなんです。声を出したい人は出してよいけれど、強制はしません。会場のMCが叫んでも、付いていかなくてもいい。自然と声が出る、勝手に応援が発生する、そういった自由なスタイルなので圧迫感がありません。誰でも入っていきやすいところが現状での特長かもしれません。
――自由さがあると観戦のハードルも下がりますね。
あと、サンディーというマスコットがめちゃくちゃ人気があるんです。初めて来た方はサンディーと絡んでもらえればきっと楽しいですよ。55チームでのマスコット総選挙があって、本当にカワイイし、ダンスも上手でいちばんだと思っています。順位はいつも4~5位なのですが、エンターテイナーとしては絶対に1位!(笑)。選挙カーを作って私も街頭演説をしたいぐらいなのですが、許可が下りなくて……(苦笑)。
――では最後に新シーズンに向けて目標をお聞かせください。
2016年から渋谷を本拠地としてプレーさせていただき、10周年目です。しかもクラブ創設90周年の節目でもあり、地域の方々に対する感謝の気持ちをプレーで表せるシーズンにしたいと考えています。そのためにも目標はCS出場です。さらに上位に入って「CSを渋谷でやろう!」とめざしています。
――それはとても楽しみですね。
厳しい条件をクリアしていかなければホーム権は得られません。まずは地区2位以内が条件ですが、過去には一度もありません。かなり難しい状況ですが、 2シーズン前には広島ドラゴンフライズが優勝しました。当初は優勝候補にも挙がっていなかったチームでした。それでも勢いがあって、けががなくて、しっかりまとまっていけば、いわゆるジャイアントキリングのようなこともできる。Bリーグは各チームが競り合っていて、それぐらいの差だと捉えています。しっかりと身体をケアしながら、チームがひとつになっていけば可能性は大いにあります。CSをホームで開催して、さらには優勝をしてぜひパレードを渋谷でしたい。「たくさん応援してもらってパレードを渋谷でやろうぜ!」というのが正直な気持ちです。

――渋谷への感謝、愛着は強い?
もちろんです。自分たちが誕生したこの街には特別の想いがあります。本当に地域に“愛されまくってきた”という実感があって、サンロッカーズの存在を大事にしてくださいました。センター街のみなさんや、いろいろなところで話題に取り上げてもらったり。いつも声をかけていただいて、PRする場を作っていただいたり、一緒に盛り上げていこうとしてくださって。来シーズンはホームをTOYOTA ARENA TOKYOに移しますので寂しさはあるのですが、この渋谷で育ててもらったことに誇りやプライドがあります。その思いを胸に、よきレガシーとするべく頑張っていきたい。それがクラブ・チームみんなの想いです。
