「みるスポ!」第1回イベントレポート
FC東京ホームゲームで実現した、すべての人に開かれた観戦体験
2025年5月25日、快晴の国立競技場。渋谷区が推進する新たなスポーツ観戦プロジェクト「みるスポ!」の第1回イベントが開催されました。

この日はFC東京のホームゲーム。渋谷区障害者団体連合会の協力のもと、区内に住む障がいのある方とそのご家族、あわせて65名がスタジアムに招待されました。スポーツを「みる」体験をアップデートする、そんなコンセプトで始動した新しい取組を数回に渡ってレポートしていきます。
熱気あふれる国立競技場で体験する一体感
スタジアムの入場ゲートでは、渋谷区障害者団体連合会のスタッフが笑顔で来場者を出迎え、チケットを手渡していました。
「せっかくの機会ですから、思い思いに自由にこの雰囲気を楽しんでください」
スタッフの言葉に、招待客の表情も自然とほころびます。
参加者は、指定席や車いす対応のユニバーサル席に案内され、次第に高まるサポーターの声援に胸を高鳴らせながらキックオフを待ちます。試合前には、長谷部健渋谷区長も会場を訪れ、区民と交流する姿が見られました。

「『みるスポ!』は、トップチームとスタジアムの迫力を体験できる貴重な機会です。
このプロジェクトが、すべての人に開かれた観戦体験を広げていくきっかけになればと思っています。」(長谷部健 渋谷区長)

試合が始まると、観客席では歓声と拍手が響き渡り、皆さんが真剣な眼差しでピッチを見つめます。惜しいシュートに一喜一憂する姿は、まさに会場全体が一つになった瞬間でした。


センサリールームで実現した「家族みんなで観戦する喜び」
今回のイベントでは、国立競技場の一角に設けられた「センサリールーム」にも、自閉症のお子さんとご家族が招かれました。センサリールームは、大きな音や光、人混みが苦手な子どもでも安心して観戦できるように配慮された特別な個室です。防音性が高く、スタジアムの熱気を感じながらも落ち着いた空間で過ごすことができます。さらに窓からはピッチ全体が見渡せ、FC東京のグッズやビーズクッションなども置かれています


ハーフタイムには、ケガで出場できなかった橋本拳人選手とバングーナガンデ佳史扶選手がサプライズ訪問。憧れの選手にサインをもらった子どもたちは、照れながらも笑顔を弾けさせていました。その後、元日本代表でFC東京のコミュニティジェネレーターである石川直宏さんやOBの髙萩洋次郎さんも訪れ、温かな交流の輪が広がりました。

観戦したご家族はこう語ります。
「大きな音が苦手な長男とは、これまで一緒にスポーツ観戦はできませんでした。今回、家族全員でスタジアムの雰囲気を味わえたことが何より嬉しいです。選手の皆さんとの触れ合いもあり、忘れられない思い出になりました。」

スポーツの感動を、誰一人取り残さずに
「スタジアムには、感情が揺さぶられる瞬間があります。そのリアルな熱量を多くの人に感じてもらいたい」

そう語るのは、FC東京の石川直宏さん。まさに「みるスポ!」プロジェクトを表す言葉です。「みるスポ!」では、今後もFC東京をはじめとする5つのプロチームと連携し、 バスケットボール、サッカー、バレーボール、ダンスなど多彩な競技の観戦機会を広げていきます。障がいのある方をはじめ、誰もが安心してスポーツを楽しめる環境づくりを進め、“スポーツの感動を誰一人取り残さずに届ける”ことを目指していきます。
